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Client Story(導入事例)

武田薬品工業、グローバルビジネスプロセスを標準化し、成長を促進

SAPプラットフォームを単一インスタンスへ移行し、業務データを連携

クライアント: 武田薬品工業㈱
地域: グローバル
業界: ライフサイエンス

クライアントの課題:2件の大型買収を経て組織構成が変わり、異なる業務プロセスとシステムが存在するようになったことで、真のグローバル組織として機能できなくなっていました。

ソリューション:武田薬品工業(以下、武田薬品)は、ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)プログラムの実行を通じて、調和のとれた業務プロセスを構築し、IT環境をSAPの単一インスタンスに簡素化しました。

背景:武田薬品は、患者さんを中心に考える、自らの価値観に基づいた、研究開発型のグローバルなバイオ医薬品企業です。企業パーパス(存在意義)に「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献するために」を掲げています。患者さんのために献身的に取り組み、患者さんをあらゆる取り組みの中心に考え、きわめて革新的な治療法に重点を置いています。

1781年に設立された武田薬品は、世界80か国以上に拠点を持つ日本企業です。近年、2件の大型買収により組織構成が変わった結果、世界規模で著しく成長し、拠点網が拡大され、国際的な医療サービス提供に多大な影響をもたらすようになりました。しかし同時に、異なる業務プロセスとシステムが存在するようになり、真のグローバル組織として機能できない状況が作りだされていました。

グローバル企業としてつながる

さまざまにサイロ化された状態の中で企業運営がなされており、理想的な状況ではありませんでした。2014年、Christophe Weber氏が代表取締役社長CEOに就任し、組織統合を目標に掲げました。グローバル企業を築くということは、組織を一体化させることでした。Weber氏は、調和のとれた業務プロセスを構築し、関連するIT環境の簡素化を図るためにさまざまな取り組みに着手しました。その一つがビジネスプロセス・リエンジニアリングプログラムです。

プロジェクト開始当初、同社には72超の異なるSAPシステムほか、統合が必要なテクノロジープラットフォームが多数ありました。統合の影響は財務統合など、あらゆるビジネス領域に及びます。業務への影響を最小限に抑えながらグローバルな業務プロセスをサポートするため、新しいテンプレートを設計しシステムを徹底的に見直すことが決定されました。

同社のERPプロダクトマネジメント責任者  Rebecca Kaufmann氏は、全従業員とパートナーをサポートするベスト・イン・クラスの統合ERPシステムを確保する責任を担っています。

Kaufmann氏は次のように述べています。「第1フェーズでは、実現可能性を評価するために、大規模なフィジビリティスタディを行いました。約15か国から代表者が集まり、ベスト・イン・クラスとは何であるか、何がベスト・イン・タケダなのかを十分に評価しました」

第2フェーズでは、グローバルなプロセスモデルの策定に取り組みました。これは主に、設計に基づいて、エンドツーエンドのプロセスをどこから開始すべきか、運用はどうするか、何をグローバル化し調和化すべきか、ローカルのまま維持すべきことは何かを明確にする作業でした。第3フェーズでは、まずオーストリア、続いてアイルランドで、2つのパイロット実装を行いました。その他の54か国では、2018年と2019年に、調和のとれたグローバルテンプレートが採用されました。

グローバル化をサポートできるパートナーを選定

広範囲にわたるRFP(提案依頼書)プロセスを経て、武田薬品はキャップジェミニをプロジェクトパートナーに選定しました。決め手となったのは、個別のアプローチ、専門的な提案、プロジェクト目標達成に対する強いコミットメントでした。プロジェクトスコープは、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)と技術支援で、さらにキャップジェミニ各国のグローバル人材によるサポートが含まれました。

Kaufmann氏は次のように述べています。「プログラムを進めていくにつれ私たちは進化し、テンプレートの改善が必要な部分と強化すべき部分を特定できるようになりました。2018年4月に、ドイツの製造施設を含む複数国で本稼働を開始しました。この施設での実装にいくつかの課題があったため、実装を休止し、3か月の検討期間を取ることに決めました。この間、他国への展開に先駆けて、デプロイ手法・アプローチ・テスト・準備完了基準を検討しました」

この休止期間が奏功し、その後の製造施設での導入で、45件のさらなる成功につながりました。

Kaufmann氏はさらに「毎回の実装後に、学んだ教訓を全面的に評価し、テンプレートのスコープから方法論へと確実に反映させるようにしています。フィードバックを得るたびに、多くのメリットが特定され、テンプレートは開始時よりも確実に進化しました。メリットを特定することで、ケイパビリティが一層強化されました」と述べています。

武田薬品は、グローバルシステムをサポートするためのアプリケーションマネジメントサービス(AMS)についても、キャップジェミニの支援を得ることに決めました。それまで、40社以上の企業、請負業者、社内リソースが、アプリケーションサポートに関与していました。AMSサポートをキャップジェミニに移行したことで、1つのチームがプロジェクトに集中できるようになりました。

マインドセットの変革を促進

武田薬品はキャップジェミニが提供するAccelerated Solutions Environment(ASE)セッションを利用し、日本を拠点とするチームが参画しました。導入プロセスでは組織文化の大改革が求められ、当然のことながら、変化のレベルに対する懐疑的な意見や反発も見られました。ASEセッションでは、数日間にわたってチームが一堂に会し、このプロセスがビジネスにどのようなプラスの影響を与えるかを全員が理解できるように取り組みました。

Kaufmann氏は次のように説明しています。「ASEセッションの目的は、全員の認識を一致させて、明確な行動指針を確立することにありました。セッション終了後、誰もが同じ目標にコミットするようになり、感化されたチームのエンゲージメント指標が劇的に好転しました」

成長へのビジネスプロセス

SAP Integration Suiteで実行される財務と業務の両方で成果が発揮されています。現在、武田薬品では、世界全拠点の財務情報が統合・連結されています。業務面でも、会社間の計画策定とサプライチェーンの機能が改善しました。また、共通の記録および基幹システムを確立することで、RPA(Robotics Process Automation)の全社的な導入が大幅に加速しました。

Kaufmann氏は言います。「以前はすべてが異なるシステムで運用されていたため、アイルランド側で日本から原材料を得ようとした場合は、外部のEDIメッセージをサイバー空間に送信し、それを日本で受信する必要がありました。現在は、すべてのプランニング情報が1つのシステム内にあるため、アイルランドからリアルタイムのプランニング要件を日本側に即時提供して、在庫状況を確認することができます」

キャップジェミニの一貫したアプローチと進行により、武田薬品の成長計画を支えるグローバルなシステムが実現しました。

Kaufmann氏は次のように述べています。「当社が成功したのは、明確なスコープを定め、そのプロセスにステークホルダーを巻き込み協力を得ることができたからです。準備と計画に9か月を費やしましたが、その時間を有効に使ったことで実装を成功させることができました」

「キャップジェミニは、当社のグローバル化プロジェクトをサポートする、完璧なパートナーでした。キャップジェミニなしには、実現できなかったでしょう。しかるべき場所でしかるべきリソースを提供できる、適切な実装パートナーを選ぶことが重要です」

武田薬品工業株式会社 
ERPプロダクトマネジメント責任者 
Rebecca Kaufmann氏