プロセスの効率化を実現
クライアントの日系大手自動車メーカーは、現行の有限要素解析プロセスでは同社が掲げる野心的な目標を十分に達成できないと認識しており、従来のアプローチを全面的に見直して効率化できるプロセスを特定したいと考えていました。しかし、こうした分析の効果を最大化するためには技術的専門知識が必要なことから、自動車業界と自動化に実績を持つパートナーを求めていました。
同社の主要ステークホルダーは次のように述べています。「このプロジェクトの最大の目的は、エンジニアの作業時間を短縮し、プロセスを標準化し、品質を向上することでした」
この目的を達成するために、キャップジェミニをプロジェクトパートナーに選びまし た。両社が協働することで、業界固有の知識やプロセスの効率化に対するビジョンと、見直しの実行に必要な技術的専門知識を掛け合わせることができます。プロジェクトの始動に先立ち、計画策定に向けた調整に取り掛かりました。
自動化の機会を特定し実行する
キャップジェミニは、このプロジェクトで取り組むべきベンダーのエンジニアが直面している課題を把握するため、エンジニアとの一連のセッションを設定・管理することから始めました。さらに両社は、こうしたエンジニア個別の専門的見解から、現行プロセスへの理解、そして効率化に向けた具体的な方策への認識を深めていきました。
レビュー完了後、同社とキャップジェミニは自動化が可能な具体的なプロセスについて認識を合わせ、アジャイル手法を適用することで絶えず進化する要件に対応できるようにしました。プロジェクトチームはキャップジェミニが開発したRightshore®モデル(※2)を取り入れ、前処理・分析用資料の準備・後処理の作業方法を見直しました。
最終的に両社は自動化の最初のターゲットとして、手作業で行っていたために反復作業やエラーが起こりやすかった三つのプロセスを選定しました。そして、自動化ソリューションを開発し、それぞれのプロセスをより効率的かつ正確に実行できるようにしました。
自動化ソリューションがもたらす未来
3か月半にわたるプロジェクトを経て両社は、この三つのプロセスに自動化ソリューションを実装し、有限要素解析のプロセス改善に向けた具体的な課題に対処しました。
その結果、それら業務にこれまで相当の時間を費やしていた従業員を、人間的な視点を必要とする、より付加価値の高い業務に配置転換できるようになりました。さらに、前処理におけるコネクタ要素の作成に要する時間を最大98%、前処理における締結部品のメッシュの自動生成に要する時間を最大90%、有限要素解結果の後処理におけるレポートの自動生成に要する時間を最大97%、それぞれ短縮できるようになりました。
プロジェクトの成功を受け、クライアントの自動車メーカーとキャップジェミニは、今後も協働して自動化の機会をさらに特定し、プロセスの効率化に継続的に取り組んでいきます。
同社の主要なステークホルダーは次のように述べています。「キャップジェミニはアジャイル手法を用いて当社と協働し、当社からの提案や機能への要求に非常に柔軟に対応してくれました。成果物は最高品質で、ソリューションはサービス利用者に受け入れられています。私どもは、全体的な効率性の向上と、この取り組みの成果に満足しています 」