ビジョンに基づいた変更
あらゆるビジネスはビジョンから始まります。達成可能な確固たる目標、実現したい夢のビジョンを持つことです。自動車メーカーでは通常、顧客の移動や輸送のニーズを満たす自動車の設計および製作がこれにあたります。こうした目標や夢などのビジョンを実現するためには、企業のあらゆる部門が共通の目的に向かって一丸となって取り組み、デジタルトランスフォーメーションを積極的に選択しなければなりません。顧客企業の日系自動車メーカーは、自社の財務経理プロセスがこの点で苦戦し始めていることに気付き、状況を正す方法の特定に取り組みました。
顧客企業はまず、財務経理部門の各チームを本社に集中させることから始めました。しかし同時に、この部門から満足のいく価値を高めるためには、さらなる効率化が必要であることも理解しており、そのためには新しいテクノロジーや自動化など、効果的なソリューションを特定、導入するための専門知識と実績を備えたパートナーが必要であると判断し、自動車業界においてもまたイノベーティブな自動化ソリューションにも豊富な実績をもつキャップジェミニと提携することを決めました。
より効率的な財務経理オペレーションの実現
キャップジェミニと顧客企業は協力して、メーカー固有のニーズを明確化し、それらに対応するために必要な技術を決定するプロセスを開始しました。
顧客企業は早い段階で「サービスの品質を犠牲にすることなくコストを削減する方法を見つけたい」という考えをキャップジェミニに伝えました。当社は、これを念頭に置き、中国にあるオフサイトサポートチームを導入しました。これにより現地言語で包括的かつコスト効率の高いサービスが提供され、文化的な障害が軽減され、包括的コラボレーションとしてのパートナーシップがさらに強化されました。中国チームの導入は、キャップジェミニのGlobal Process Model©(GPM)に沿ったもので、プロセスの最初のステップにあたります。
次に両社は、財務経理部門において手作業で処理している物理的文書の処理時間を短縮するための自動化ソリューションの導入に取り組みました。この取り組みの一環として、両社は既存の全財務経理プロセスをデジタル化し、紙ベースの作業を排除し、自動車メーカーの従業員がより挑戦的でやりがいのある、付加価値の高い作業に集中できるようにしました。
デジタルと自動化技術に基づいた未来
インテリジェントオートメーションの導入は、この最初の成功の後も止まることはありませんでした。両社はさらに付加価値をもたらすために、ロボットプロセスオートメーション(RPA)やその他自動化ソリューションの新たな機会を継続的に探し求めました。これらのプロジェクトの目標と要件を常に連携させながら、顧客企業の財務経理部門の効率をさらに向上させ、デジタルトランスフォーメーションのジャーニーを一層推進させる新しいテクノロジーを徐々に展開していきました。
これにより、顧客企業にはさまざまなポジティブな効果がもたらされました。コスト削減と効率性の向上に加えて、デジタルにフォーカスを定めたこの新しいアプローチは、同社の財務経理プロセスの可視性を高める上でも重要な役割を果たしました。新しいQuery-to-Resolve(Q2R)システムの導入は、クエリ、リクエストの追跡及び透明性の高いステータスレポートの同時作成を可能にしました。さらに、さまざまな自動化とデジタル化の取り組みによって業務の標準化が可能となり、管理とコンプライアンスにプラスの影響を与えました。最終的に、インテリジェントオートメーションとデジタル技術の推進により、同社は支払の精度を99.5%まで高めることができました。
顧客企業は、キャップジェミニとの共同作業を通じて、サプライヤーと同社顧客の両方のエクスペリエンスを向上させる、強力で刺激的な結果を生み出しました。現在では、サプライヤーに対しては、より迅速かつ確実な支払いが、また顧客に対してはより正確でタイムリーな請求が行われています。このようにして、再びその分野でリーダーシップを発揮し、目標である卓越した自動車設計と顧客の期待に応える自動車の生産に再び全力を注げるようになりました。