未来は自動運転
自動車業界はインテリジェントオートメーションに向けて着実に進んでおり、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や駐車支援、前方衝突警告などの機能を通じて、今日の自動車への先進運転支援システム(ADAS)の統合が徐々に進んでいます。自動車の未来が自動運転であることは明らかで、2030年には販売される自動車の15%が完全自動運転となり、2035年までに年間9,500万台の自動運転車が販売されると予想されています。よりインテリジェントな運転システムへの移行は、ヒューマンエラーによる事故の減少、輸送コストと環境への影響の軽減、より安全でより利用しやすい運転など、多くの潜在的な利益をもたらすでしょう。
しかしながら、より高い自律性を達成することは、自動車メーカー (OEM) に多大な課題をもたらします。OEMは、テクノロジーインフラストラクチャの安定性、拡張性、信頼性を確保しながら、迅速にイノベーションを実現させなければなりません。さらに、ミッションプロファイルの研究に基づいて複雑なシステムを決定するためには、ADASの安全についての検証と妥当性確認(V&V)に絶対的な重点を置くことが最重要となります。これには、シミュレートされたモデリングと並んで、数十億キロメートルに及ぶ路上テスト、膨大な量のデータの処理、保存、分析が含まれます。
お客様の取り組み
お客様である同OEMは、自動車オートメーションにおける世界的リーダーです。このOEMは、ある主力プログラムを通じて、多数の自社ブランドの自動運転車を安全かつ直観的に、またできるだけ多くの顧客が利用できるよう取り組みを続けています。
同社はAD/ADASへ初期投資を行っており、その結果、2015年、フランスで初の一般道路上での自動運転車の走行テストを実施しました。また、2017年には初めて専門家以外をドライバーに起用して実験を行いました。同社はレベル1およびレベル2の自動機能(緊急ブレーキ、駐車支援、一部のハンズオフ自動運転機能)をすでに自社の自動車に搭載しており、これを超える機能 ― 渋滞や高速での自動「アイズ・オフ」運転 ― を自社のプレミアム製品に装備すべく取り組みを進めています。
そのためには、進化を続ける環境規制や安全規制を遵守しながら、大規模なイノベーションを行わなければなりません。これには、プロトタイプを使った路上テストだけでなく、仮想モデリングと継続的な学習を用いて十分な量のデータを作成することが含まれます。自動運転技術と妥当性確認要件が高度になるにつれ、システムの複雑さが急激に高まり、ADASテストのデータの量も急増しています(これらのデータは30年間保存する必要があります)。
自律性を共に推進する
このコラボレーションは、Level3 Pilot欧州自動運転テストプロジェクトの一環として始まり、これまでに34のパートナー、1,000人のドライバー、100台の車両、10か国が参加して、交通渋滞、高速道路、駐車場、市街地走行などの状況でレベル3およびレベル4の自動運転機能をテストしてきました。
キャップジェミニは、エンジニアリング、データ分析、テクノロジーの専門知識を独自に組み合わせて活用し、同OEMのADAS用にオンプレミス、クラウドの両方のネットワークを構築・拡張、妥当性確認と検証を通じて作成されるペタバイト規模のデータのためのセキュアなプラットフォームを提供しています。この完全に管理・制御されたエンドツーエンドのプラットフォームにより、同グローバルOEMはさまざまなデジタル手法とテスト環境を最適に組み合わせて、実証済みの自社検証プロセス、ツール、テクノロジーを強化できるようになりました。
2020年7月から、このグローバルOEMとキャップジェミニは、自動運転車開発の加速を目的とした政府出資のプロジェクトにこの統合アプローチを適用しています。
キャップジェミニは、同OEMとのこの継続的なコラボレーションを通じて、消費者行動の変化や気候変動、破壊的テクノロジーのプレッシャーにさらされている業界において、同OEMとそのパートナーが優れたパフォーマンスを発揮できるよう支援しています。また同OEMは、アジャイルな適応とインテリジェントなイノベーションを通じて、自動運転、そして顧客のより安全で快適な移動の実現を目指して、その取り組みを加速し続けています。