大手損害保険会社のIT運用を担う
「チューリッヒ・グループ・ジャーマニー(以下、ZGD)」は、世界210以上の国と地域で、5,500万以上の個人および法人顧客にサービスを提供する大手マルチライン保険会社「チューリッヒ・インシュアランス・グループ」の子会社です。同グループは、従来の保険サービスの提供に加え、人々の健康促進や気候変動による影響への対応力を高めるといった予防を目的としたサービスの提供に注力しています。ZGDはドイツの大手保険会社で、約4,500名の従業員を有し、800万以上の顧客に幅広い損害保険・生命保険商品とサービスを提供しています。2021年の総収入保険料は約63億ユーロ、投資額は530億ユーロでした。
ZGDではIT部門の従業員約450名が、ジャーマン・インシュアランス・グループ全領域を対象とする統合型アプリケーションシステムを管理しています。アプリケーション、インフラ、通信設備のユーザーサポートに加え、ITセキュリティの確保も担っています。
社内チームを強化する
2021年時点のアプリケーション開発では、ソフトウェアデリバリーの大部分を外部のサービスプロバイダーに委託していました。サプライヤーの数が多く、外部コストの面でスケールメリットを実現できない状況でした。
そこで、チューリッヒは2022年に新たなソーシング戦略を実行し、その一環として、社内のリソース配分を大幅に増やす付加価値領域、パートナーと協働してアジャイルなデリバリーモデルを適用すべき領域、外注すべき領域を特定しました。そして、この変革を支える新たな戦略的パートナーとして、キャップジェミニが選ばれました。イノベーティブな発想や、AIやクラウドといった新技術におけるキャップジェミニのケイパビリティが評価されたのです。
Guidewire実装がもたらすアジャイルフレームワーク
ZGDとキャップジェミニは長年のパートナーとして、深い信頼関係を築き、柔軟かつアジャイルな取り組みを進めきました。この実績からキャップジェミニは、損害保険会社に特化したプラットフォームであるGuidewireの実装を委託されました。既存のコアシステムのいくつかも、段階的にGuidewireに移行されます。
プロジェクトが進む中でGuidewireの実装手法は、アジャイルリリーストレイン(ART)(※2)ベースのDevOpsコラボレーションモデルへと進化していき、その結果、市場投入までの時間が短縮され、所有コストも削減されました。ZGDは、キャップジェミニならば、成果が実証されたこの同じフレームワークを活用して、クラウド・デジタル・販売の分野の他のプロジェクトも支援できる、と認識しました。
Guidewire導入で適用したコラボレーションモデルの成功を受けて、ZGDはキャップジェミニを、請求管理部門の戦略的デジタルトランスフォーメーションパートナーに選定しました。ZGDのビジョンと業界における専門性に、キャップジェミニの技術ナレッジ、ビジネスと戦略への深い理解、アジャイルなソフトウェア開発力が掛け合わさり、両社のパートナーシップはより強固なものとなっています。従前、複数サプライヤーに委託していたいくつかのサービスをキャップジェミニに集約したことで、社内の能力が強化され、コストの最適化・柔軟性の向上・効果の最大化が実現しました。
(※1)コラボレーションモデル:プロジェクトに関わる組織や要員がひとつのチームとして連携して取り組むことで、効率・スピード・品質を高める開発手法
(※2) アジャイルリリーストレイン:複数の開発チームが長期的かつ機能横断的に同期をとりながら連携し、柔軟にプロジェクトを進行させるアジャイル開発手法